「第6回東アジア競技大会」(中国・天津市)武術太極拳競技 金1,銀2,銅2を獲得

10月7~9日 8カ国・地域から選手・役員120人が参加

金1(小島),銀2(内田・山口),銅2(関屋・市来崎)

【掲載:2013年11月15日】

「第6回東アジア競技大会」が10月6日に中国・天津市で開幕し,15日までの10日間,24競技254種目が行われ,日本,中国,韓国,朝鮮,中国香港,中国台湾,中国マカオ,モンゴル,グアム(準加盟)の9カ国・地域が参加した。アジアオリンピック評議会(OCA)が主催し,東アジア各国・地域のオリンピック委員会が選手団を派遣して4年ごとに開催されてきた。前回2009年は香港で開催された。

今大会の武術太極拳競技は10月7~9日に天津市内の天津師範大学体育館で挙行され,套路競技男女各6種目・計12種目と散打競技男子6階級・女子2階級に8カ国・地域から120人の選手・役員が参加した。

日本からは前東篤子監督,孫建明,丹井均両コーチの下で套路競技に男女選手8人が次の種目に出場した。

大会には帯同審判員として及川佳織・日本連盟審判委員会委員と竹中保仁同委員が参加した。また副総審判長を川崎雅雄日本連盟理事が,大会仲裁委員会主任を石原泰彦日本連盟理事・事務局長が務めた。

男子選手;

太極拳・太極剣総合=関屋賢大(大阪府),吉田慎之佑(東京都),長拳および刀術・棍術総合=市来崎大祐(東京都),南拳・南棍総合=中田光紀(東京都)

女子選手;

太極拳・太極剣総合=内田愛(神奈川県),佐藤直子(神奈川県),長拳および剣術・槍術総合=山口啓子(東京都),南拳・南刀総合=小島恵梨香(滋賀県)

 



日本代表選手団一同
前列右から山口選手,市来崎選手,後列右から前東監督,中田選手,内田選手,丹井コーチ,孫コーチ,関屋選手,佐藤選手,小島選手,吉田選手


会場の天津師範大学体育館

 

 

■大会参加レポート
 日本選手メダル5個の活躍
      世界選手権大会前に課題も
          「安定した演技を目指す」

第6回東アジア競技大会日本代表団監督の前東篤子・日本連盟選手強化委員会副委員長に今大会の総括をしてもらった。

第6回東アジア競技大会に参加して────────

今回は8名の選手が5個のメダルを獲得し,「東アジアを制すれば世界を制する」といわれるほど技術レベルが高い地域で,「金1,銀2,銅2」の成績を挙げることができた。

長拳以外は2種目の合計得点によって順位が決まる。1つの種目で1ヵ所でも難度動作の失敗があると,総合順位が大きく下がり入賞圏外となる厳しい闘いのなか,日本チームはよく健闘し,特に女子選手が活躍した大会であった。

「新国際競技ルール」では,まず動作規格と難度動作でミスがなく減点がないことの上で演技レベルを競い,メダルに近づく事ができる。日本チームは国内大会での厳しい採点を経た代表が揃い,動作規格のミスは非常に少なくなった。残る課題は,難度動作を安定して行うことに尽きる。

 



競技会場。手前が套路競技のコート,奥が散打競技のコート

女子太極拳・太極剣総合の内田,女子剣術・槍術総合の山口の2選手は,接戦のなか二種目ともノーミスで立派な演技を行い2位を獲得した。

女子南拳・南刀総合で1位を獲得した小島選手は1種目めで減点があったが,奮起して2種目めで挽回し1位となる喜ばしい結果であった。しかし減点には至らなかったものの複数の小さなミスが出現した。手放しで喜べる状況ではなく幸運な面もあったといえるが,今回の経験から次に向けた課題が見つかったことは大きな収穫である。

男子では市来崎,関屋の2選手がよく健闘し,3位でメダルを獲得する成績を挙げた。

夏の代表決定後から今大会まで国内強化合宿や訪中訓練に精一杯取り組み,万全を期して臨んだ結果が素晴らしい成績となった事は大いに評価されるべきである。

 



女子南拳・南刀総合で金メダルを獲得した小島選手(中央)表彰式で

女子南拳・南刀総合表彰式で掲げられた日本の国旗

 

一方で,内田,山口以外の選手には大小のミスが出現し,減点のために順位が下がりメダルから遠ざかる影響があった事は認めざるを得ない。

来月の世界選手権大会では各国のトップ選手と競う事になる。日本のベテラン選手はアマチュアとはいえ,競技年数や訓練環境はプロに引けを取らないレベルに成長しており,技術課題は各自がよく把握している。世界大会までの残る日程は短期間ではあるが,難度の完成度を高めるべく訓練の量と質を考え,完全に安定した演技を目指していきたい。今大会での反省を忘れず,精神を集中して日々の訓練に取り組んで大会に向かい,悔いのない2013年を締めくくってもらいたい。

 

日本代表選手団成績一覧
  選手名 所属団体 順位

関屋 賢大 大阪府
太極拳・太極剣総合 3位
吉田慎之佑 東京都
太極拳・太極剣総合 7位
市来崎大祐 東京都
長拳 3位,
刀術・棍術総合 4位
中田 光紀 東京都
南拳・南棍総合 6位

内田  愛 神奈川県
太極拳・太極剣総合 2位
佐藤 直子 神奈川県
太極拳・太極剣総合 5位
山口 啓子 東京都
長拳 4位,
剣術・槍術総合 2位
小島恵梨香 滋賀県
南拳・南刀総合 1位