「第19回ＪＯＣジュニアカップ大会」７３９人が出場して盛況

■「アジアジュニア選手権大会」の日本代表候補選考会を兼ねて実施

日本連盟主催の「第19回JOCジュニアオリンピックカップ武術太極拳大会」（以下ジュニアカップ大会）が４月２日（土）・３日（日）の２日間にわたり，大阪府熊取町のひまわりドームで開かれた。大阪府連盟（髙田明会長）が主管団体として大会運営にあたった。

（財）日本オリンピック委員会（JOC），文部科学省，（財）日本体育協会，アジア武術連盟，大阪府，熊取町ほかの後援。

ジュニアカップ大会は長年にわたって「全日本武術太極拳競技大会」と同日同会場の併設開催で実施してきたが，年々出場者が増加してきたことに対応するために，昨年から単独開催となっている。

今大会はアジア武術連盟（WFA）が今年８月に中国・上海市で開催する「第６回アジアジュニア武術選手権大会」の日本代表候補選手選抜を兼ねて実施された。

■男子385人，女子354人がエントリー大地震被災地の東北地方から45人が出場

「JOCジュニアオリンピックカップ武術太極拳大会」は国際２大会（世界ジュニア選手権大会，アジアジュニア選手権大会）と連動した大会としてＡ組（16歳～18歳），Ｂ組（13歳～15歳），Ｃ組（７歳～12歳）の３つの年
齢グループで20種目，男女計40種目の個人競技を実施するもので，今回の大会には男子385人，女子354人の合計739人が出場した。

大会直前の３月11日に発生した東北地方太平洋沖地震と津波により大きな被害を受けた東北地方の青森県から４人，秋田県からは６人，岩手県から15人のエントリーのうち14人，宮城県からは４人のエントリーのうち１人，福島県から１人の計45人が困難な状況にもかかわらず出場を果たした。

２日間あわせておよそ2000人の観客が選手たちの演技に大きな拍手と声援を送った。

コート４面が設営された大会会場の
ひまわりドーム（熊取町）

競技の模様　

■開会式で髙田明大阪府連会長が選手を激励

大会初日の開会式冒頭，東北地方太平洋沖地震等で亡くなった方々のために会場全員が起立して１分間の黙とうを捧げた。

大会審判団入場に続いて，村岡久平・日本連盟副会長・専務理事が「このたび東日本を襲った未曾有の大地震・津波とその関連事故の被害が続くなか，全国の愛好者，会員の方々，また関係者のみなさんのご声援をいただいてここに開催することができました。被災地域の一部の選手が参加できなくなったことは大変残念ですが，選手のみなさんは１年間の練習の成果を大いに発揮していただきたい」と開会の挨拶をのべた。

大会主管を務める大阪府連盟の髙田明会長（写真・日本連盟名誉副会長）は「全国から選抜された選手のみなさん，日頃鍛えた技を堂々と演武してください。そのなかからアジアジュニア，世界ジュニアなどの国際大会で
活躍される選手が輩出されることを楽しみにしています。全選手諸君の健闘を願います」と激励のことばをのべた。髙田明会長の明りょうで力強いあいさつは大会参加者に深い感銘を与えた。

大会会場ひまわりドームのある大阪府熊取町の中西誠町長は「町民の健康づくりを目的に太極拳を町全体で応援し，普及活動を進めているここ熊取町で，ジュニアカップ大会が開かれることを大変喜ばしく思います。”太極拳のまち”として，熊取町は全国の皆さんを歓迎いたします」と挨拶した。開会式には熊取町から西牧研壯教育長と田中豊一住民部長，（財）大阪体育協会の大村雅信事務局次長が参列した。

競技開始の前に友正慧総審判長（日本連盟理事）による競技上の諸注意，審判団の紹介が行われた。

種目ごとに行われた表彰式

■ＪＯＣジュニアオリンピックカップ朝山義隆・脇村洸梨の両選手が獲得

大会会場には４面の競技用コートが設営され，２日間にわたり競技が行われた。

各競技種目入賞者の表彰は会場正面の表彰台で順次行われ，日本連盟役員がプレゼンターをつとめ，賞状とメダルが贈られた。

競技がすべて終了したのち，大会最優秀選手２人（男女各１人）が発表され，「JOCジュニアオリンピックカップ」が授与された。選ばれたのは男子＝朝山義隆（南拳・大阪府連盟），女子＝脇村洸梨（南拳・大阪府連盟）。両選手は，JOCから将来オリンピック，世界選手権，アジア選手権などの主要国際大会で活躍が期待できる「オリンピック有望選手」として認定され，研修会や医学的サポートを受けることになる。

大会の模様

ジュニアオリンピックカップを手にする
朝山義隆選手（右）と脇村洸梨選手　

■日本代表候補選手38人からアジアジュニア大会日本代表12人を選抜

日本連盟選手強化委員会は大会終了後の４月３日17時から日本連盟関係役員，大会審判役員ら17人により，８月18～21日に中国・上海市で行われる「第６回アジアジュニア武術選手権大会」の日本代表候補選手選考会が開かれた。

その結果日本代表候補男女計38人（12都道府県連盟）が選ばれた。候補選手たちは６月25～26日に東京・日本連盟本部研修センターで実施される「同大会日本代表選手最終選抜合宿」に参加したうえで，Ａ組選手男女各２人，Ｂ組選手各２人，Ｃ組選手各２人の合計12人の代表選手が最終選抜される。

12人の代表選手は現地上海で行われるアジアジュニア代表直前合宿に参加して大会に臨む。

■被災地・被災者を支援・応援しよう

今回のジュニアカップ大会会場では東北地方太平洋沖地震等義援募金活動が行われた。会場入り口付近に設置された募金箱には２日間でジュニア選手たちを含め多くの人が被災者・被災地に心を寄せて募金協力した。「太極拳の仲間を支えよう！励まそう！」の掛け声のもと，被災した会員に向けた義援募金運動が全国で行われている。

「震災復興　みんなの力を合わせよう！応援しよう！」
西日本選手強化委員会，各府県武術隊による
メッセージが会場に

■来年のジュニアカップ大会は名古屋で開催

閉会式ではジュニアオリンピックカップが岡﨑温日本連盟常務理事から朝山・脇村両選手に手渡された。

大会主管団体，大阪府連盟の曽我部篤爾副会長のあいさつに続いて，村岡久平・日本連盟副会長が「ジュニア選手のみなさんのさらなる成長に期待します。大会開催に尽力されたすべての関係者，スタッフ，声援してくださった観客のみなさんに心から感謝いたします」とのべて，閉会のことばとした。

来年の「第20回JOCジュニアオリンピックカップ武術太極拳大会」は４月に名古屋で開催される。大会主管は愛知県連盟（伊藤康二会長）が担当する。