「第13回世界武術選手権大会」(インドネシア・ジャカルタ)メダル銀4・銅2を獲得

インドネシア・ジャカルタ市で11月14~18日開催


国際武術連盟(IWUF)が主催し,インドネシア武術総会の主管による「第13回世界武術選手権大会」が11月14~18日まで,インドネシア・ジャカルタ市の「イストラ・スナヤン」屋内競技場で開催され,85カ国・地域から約904人の選手,役員らが参加した。日本連盟は套路競技に男子4人,女子4人,計8人の選手と監督・コーチ計4人,および中村剛国際審判員を帯同審判員として派遣した。また,散打競技からは監督・コーチ2人,選手2人の計4人が代表選手団に加わり,総勢17人が大会に参加した。

今大会,2日目には女子槍術で本多彩夏選手が3位,市来崎直子(旧姓,佐藤直子)選手が女子太極剣で2位,つづいて男子長拳で市来崎大祐選手が惜しくも2位,男子太極拳で荒谷友碩選手も2位とつづき,1日で銀3,銅1のメダルを獲得した。

大会3日目は,荒谷選手が男子太極剣で個人2個目となる銀メダルを獲得した。最終日である大会4日目に,前2種目で惜しくもメダルを逃した大川智矢選手が,持ち前の思い切り良さを発揮し,男子槍術で銅メダルを奪取した。

その他の成績は,毛利亮太選手が男子南拳で5位,小島恵梨香選手が女子南拳4位,南刀5位,南棍4位,齋藤志保選手が女子太極剣6位と,惜しくもメダルには届かなかったものの,全員が入賞を果たした(成績表参照)。

今大会は「WUSHU TV」放送局が,インターネット上で全世界に向けて生中継で放送した。インターネットを利用する一般の誰でもが無料で見られる生中継放送は,今後の国際大会でも継続されれば,より全世界において武術太極拳の普及が進むだろう。

また,今大会期間中に国際武術連盟(IWUF)の理事会および総会等の各種国際会議が開かれた。日本からは,日本連盟の村岡久平会長と石原泰彦常務理事・事務局長が参席した。会議の詳細は国際ニュースページを参照。



会場の入口で大きな看板が出迎える


会場となった「イストラ・スナヤン」屋内競技場

大会レポート 日本代表選手団監督:孫建明

今回の日本チームは若手選手を多く起用し,8名のうち4名が20歳という構成で大会に臨み,銀4銅2の成績を挙げた。中でも世界選手権大会2回目の荒谷選手は,落ち着いた演技で太極拳,太極剣とも中国選手に次ぐ2位の優秀な成績を収めた。シニア国際大会初出場の本多選手も健闘し,銅メダルを獲得した。

大会に向けた準備として,北京での事前強化合宿から直接大会に臨んだ。各種目とも中国のトップコーチを招請し,17日間の厳しい訓練に真剣に取り組んだ。専門医の治療も受けられる恵まれた環境で,全選手の技術・体力・精神力ともに非常に向上し,高い効果を得る事ができた。このような取り組みはプロチームでは当然のことだが,日本チームでは初めての取り組みとして行われ,今後の方針を示唆する貴重な機会となった。

今大会から八掛掌,形意拳,双剣,大刀が新種目として採用され,第三套路も含めて競技種目数が大きく増えている。太極拳選手の3種目として,または同種目に複数エントリーする場合等に,これらの種目参加を検討する余地があると思われる。別拳種の訓練は自選動作の習熟に有益であり,メダル獲得の機会が増えるとも考えられ,今後の選択肢として検討したい。


大会前日に会場で練習する選手たち

市来崎大祐選手の「刀術」


市来崎直子選手の「太極拳」


大川智矢選手の「槍術」


本多彩夏選手の「槍術」


荒谷友碩選手の「太極拳」


齋藤志保選手の「太極拳」


小島恵梨香選手の「南棍」


毛利亮太選手の「南拳」

「太極剣」の授賞式(銀:荒谷友碩選手)

「長拳」の授賞式(銀:市来崎大祐選手)

市来崎直子選手(写真左:太極剣・銀)と
本多彩夏選手(槍術・銅)

「槍術」の授賞式(銅:大川智矢選手)

大会はインターネットの放送局により生中継された


日本代表選手団(套路)。後列左から市来崎大祐,大川智矢,平井祐二,孫建明,孔祥東,荒谷友碩,毛利亮太,前列左から前東篤子,小島恵梨香,市来崎直子,本多彩夏,齋藤志保の各選手,監督,コーチら

 

参加国・地域別 獲得メダル数(套路種目)

順位 国・地域名 合計
1 中国 7 0 0 7
2 インドネシア 6 1 4 11
3 中国香港 5 4 1 10
4 マレーシア 3 4 4 11
5 ロシア 3 2 2 7
6 韓国 2 2 2 6
7 中国マカオ 2 2 1 5
8 シンガポール 1 1 2 4
9 エジプト 1 0 1 2
10 オーストラリア 1 0 0 1
10 ブラジル 1 0 0 1
12 日本 0 4 2 6
13 イラン 0 3 0 3
14 アメリカ 0 2 4 6
15 ベトナム 0 2 2 4
16 台北 0 1 1 2
16 トルコ 0 1 1 2
18 フランス 0 1 0 1
18 ミャンマー 0 1 0 1
18 フィリピン 0 1 0 1
21 ウクライナ 0 0 3 3
22 カナダ 0 0 2 2
合計 32 32 32 96

 

第13回世界武術選手権大会 日本代表選手団成績(套路)
  氏名 都府県連盟 順位

市来崎大祐 東京都 長拳2位・刀術8位・棍術12位
大川 智矢 東京都 長拳7位・剣術5位・槍術3位
荒谷 友碩 千葉県 太極拳2位・太極剣2位
毛利 亮太 大阪府 南拳5位・南刀9位・南棍9位

本多 彩夏 東京都 長拳11位・剣術8位・
槍術3位
齋藤 志保 岩手県 太極拳5位・太極剣6位
市来崎直子 神奈川県 太極拳7位・太極剣2位
小島恵梨香 滋賀県 南拳4位・南刀5位・
南棍4位