― 健康と太極拳 ― 太極拳の魅力(牧 典彦)

著者プロフィール

牧 典彦先生

牧 典彦
いきいきクリニック内科医

略歴
近畿大学医学部卒業、医学部在学中に林厚省老師(上海)に師事。大阪府民体育大会に出場・入賞歴あり。各医療機関に出向後、牧老人保健施設長を経て、現在、同施設顧問。

米国では、太極拳は「タイチー」と呼ばれておりますが、『メディカルトレビュー』という雑誌では、一年に数回、タイチーが健康増進に役立つ旨の論文が紹介されています。米国は、日本のような国民皆保険制度ではありませんので(基本、民間医療保険かあるいは自費)、つまり医療のあり方が制度上根本的に違いますので、その点からは、病院における医療の自由度が、日本より高い、とも言えます。米国のリハビリ担当医から聞いた話では、入院している患者さんとセラピストたちが一緒になって「レッツタイチー」と称して、朝に太極拳をしているそうです。日本では、保険診療の適応という観点に立った場合、病院において、リハビリテーションの一環として太極拳を行うことに難しさが伴う、と思います。

リハビリテーションとして太極拳をすれば、効果があることは自明です。個人的には、今更それを検証するとか、また、関係論文を広めようという気にはなりません。ただ、そうはいうものの、太極拳とラジオ体操との比較には大いに興味がありますので、どなたか簡化太極拳とラジオ体操第一・第二の群をつくっていただいて比較・検証をしていただければ、と勝手に願っております。その検証結果には興味を抱いております。検証の結果、「太極拳が負けた」とかは問いません。朝のラジオ体操愛好者はものすごく大勢いますが、ラジオ体操が好きな人はそれをすればよいし、また、太極拳が好きな人は、太極拳をすればよい。私のように両方してもかまわない、と思っております。

太極拳を始めてから25年以上経ちました。中国人の嫁と結婚して20周年になりましたので、太極拳の教室に通うのに文句は言わせません。というより、実のところ、「お伺い」の上で参加しております。嫁は「あんなゆっくりした動き、でけへん」と言っております。思うに、個人の趣味と国籍には何ら関係ないですね。

太極拳の魅力は、やはり、その奥深さと美しさにあるのではないでしょうか。簡化24式太極拳の奥深さは、一生やっても飽きませんし、演武しきれるものではありません。その所為で、浮気して陳式太極拳にのめり込み、また、楊式太極剣をかじり、はたまた楊式太極拳にのめり込む、という状況に陥っております。陳式太極拳をしている時は、楊式太極拳はいくらなんでもゆっくりすぎるのでは、と思っておりましたし、また、42式太極剣もやってみたいですし、規定の陳式太極拳も復習しなければなりませんし、42式太極拳もやってみたい、と思いは尽きません。

今回のこの私の寄稿で太極拳人口が増えることはないとは思いますが、なにかの拍子で愛好者が「1プラス1」となって、きっと増えるでしょう。そのように確信しています。

私は、カラオケも大好きです。JOYSOUNDに「甘い香り」と「さいで」の二曲が載せられており、チャイニーズポップス風にしあがっていますので、是非カラオケBOXで聞いて、歌ってください。私は、もうすぐ還暦を迎える若輩者ですが、これからの健康長寿を太極拳とカラオケで維持してまいります。