「第2回世界ジュニア選手権」 08年12月 インドネシア・バリ

第2回世界ジュニア武術選手権大会
44カ国・地域、650人が参加
金8、銀5、銅5、全員が上位入賞で大躍進!!

【掲載:2009年01月15日】

2008.12.9~13 インドネシア・バリ島

 国際武術連盟(IWUF)が主催し、インドネシア武術協会(INAWA)が主管する「第2回世界ジュニア武術選手権大会」が、12月9~13日にインドネシア・バリ島で挙行され、44カ国・地域から650人の選手と関係役員が参加した。第1回大会は、2006年9月にマレーシア・クアラルンプールで開催され、40カ国・地域から400人が参加した。
 今大会では、套路競技は、年齢別(A組=16~18歳、B組=13~15歳、C組=7~12歳)の男女計50種目が実施され、また、散手競技(16~18歳)は男子8階級、女子4階級が実施された。
 日本からは套路競技のA、B、Cの各年齢グループに男女計12人の代表選手がエントリーし、団長、監督、コーチの5人とあわせて計17人の代表選手団を派遣した。

●日本代表選手団:
1.団長=岡﨑 温(日本連盟常務理事)
2.監督=前東篤子(選手強化委員会副委員長)
3.孔 祥東コーチ(同委員会強化コーチ)
4.丹井 均コーチ(同上)
5.神庭裕里コーチ(同上)

男子選手: 1.米山隆太郎(大阪府連盟)
2.河村直哉(神奈川県連盟)
3.岸 啓介(大阪府連盟)
4.寺石恭平(東京都連盟)
5.金澤慎治(兵庫県連盟)
6.小松 資(埼玉県連盟)
女子選手: 1.阪みさき(大阪府連盟)
2.森本 閑(大阪府連盟)
3.齋藤志保(岩手県連盟)
4.山口亮子(大阪府連盟)
5.森 未樹(東京都連盟)
6.山本千尋(兵庫県連盟)

     

日本代表選手団17人(団長、監督、コーチ)

●金8、銀5、銅5のメダルラッシュ !!
 大会はバリ島の大規模リゾートホテル、ウェスティンホテルの国際会議場「ウェスティン コンベンションホール」を競技会場として挙行された。日本を含む各国選手団の多くは、会場に隣接するリゾートホテルが宿舎となり、良好な環境のもとで競技が行なわれた。
 競技は、ジュニア選手が基本技術を固め、競技力向上を図る目的で、年齢別のA組、B組、C組でそれぞれ異なる国際競技用規定套路の競技が行なわれた。

 日本は、12月10日の大会第1日目から金メダル獲得が続出し、13日に全競技が終了した時点で、金メダル8個、銀メダル5個、銅メダル5個の獲得となった。なかでも河村直哉、齋藤志保、山口亮子の3選手はそれぞれ2種目で金メダルを獲得する大活躍であった。日本としては過去の国際競技大会で最多のメダルを獲得したことになり、国別メダル獲得数でも、中国の金メダル10個に次ぐ、第2位の優秀な成績を挙げることができた。また、選手12人の全員が上位入賞を果たしたことも特筆すべきことであった。

●ジュニア強化策の成果、チームの結束力の成果:
 世界各国はここ数年間、「2008年北京オリンピック 武術トーナメント」を目指して、それぞれ「自選難度競技」の重点種目で、重点選手を集中的に強化する活動を行ってきた。
一方、日本連盟と関係団体は、「北京オリンピック」のための重点強化策と並行して、ジュニア選手の育成、強化を図ってきた。
 今大会では、日本のジュニア選手が正確な技術と安定した演技を示したことに対して、どの種目でも審判員から高い評価を得ることができた。この数年間のジュニア強化策が成果を挙げたことは喜ばしい。
 また、前東監督とコーチ3人が一丸となって、各選手の心身両面のケアに取り組んだことが功を奏した。ジュニア選手にとって、日本代表チームの一員として自然に結束力を強めることができたのも、貴重な経験となった。
 さらに、事前の強化訓練、強化合宿などで、日本連盟の国際審判員が競技ルール面での情報提供と確認作業を十分に行ったことも、大会の成果につながった。
 大会には代表選手の家族と関係者14人が応援に駆け付けて会場で熱烈な声援を送り、選手を大いに力づけた。

●ジュニアの育成・強化をさらに進める:
 世界選手権大会でのメダル獲得、上位入賞は、ジュニア選手に大いに自信をもたらすもので、祝福を送りたい。ジュニア選手の成績は、あくまで成長途上のものであり、心身両面で今後更なる向上が期待されるものである。
 今大会の半年後の今年5月27~31日に、「第5回アジアジュニア武術選手権大会」がフィリピン・マニラで開催される。各国は日本を標的の一つに絞ってジュニア強化に取り組み、大会に臨んでくるものと思われる。日本は、さらに多くのジュニア選手のレベルアップの場として、アジア選手権大会に臨みたい。
 4月4・5日に京都市で開催される「第17回JOCジュニアオリンピック大会」では、アジア選手権大会を目指して、ジュニア選手の熱戦が期待される。

 日本連盟は、今大会の競技役員として、竹中保仁国際審判員を套路審判員として派遣した。また、石原泰彦理事が大会副総審判長を担当した。村岡久平副会長は、国際武術連盟理事として大会に参加し、同連盟の理事会に出席した。

●日本代表チームの前東篤子監督(日本連盟選手強化委員会副委員長)に聞く
 今回の日本選手団の金メダル8個、銀メダル5個、銅メダル5個という好成績は、様々な要因が考えられますが、第一は「2005年ルール」に基づいて今回からジュニア大会に適用されることになった新国際競技ルールに対応した訓練で試合に臨んだことだと思います。
 今大会の代表選抜は選抜合宿、強化合宿と合宿を数回行い、選手、所属のコーチ、監督、役員すべての関係者が連携して新ルールに対応した細やかな訓練を実施することができました。また審判・コーチ陣も今年、中国・武漢市で行われた国際審判員セミナーに出席して2005年ルール対応の研修を受けています。
 ある強豪国では身体能力には大変優れているものの、新ルールに対応できておらず大幅に減点されてしまったという事例も。

 今大会から套路競技にC組(7歳~12歳)という年齢区分が導入されて、A組(16歳~18歳)、B組(13歳~15歳)の3年齢組となり、日本代表選手12人のうち、4人が小学生でした。これは初めてのことでしたが、年齢的なことも考えてまずチームの雰囲気作りに力を入れました。要するに「仲良くいられて、緊張しない関係作り」を意識しました。数回の合宿からずっと皆でいっしょに練習してきたこともあって、大会中には応援しあったりビデオを互いに撮り合ったりするなど自然体で接しあい、リラックスして試合に臨めたようです。「チームワークの良さ」、これも好成績につながった要因なのではと思います。

 今回の好成績獲得で、日本がジュニアに力を入れ、そして成功していることが世界中に公になったわけですから、これからますます他の国々、特にアジアの国々がジュニア育成に力を入れて日本を追い上げてくるでしょう。実際、新ルールに対応する力をつけてきているチーム(国)もいくつかありました。
 国内各ブロックのジュニア大会で新ルールにどう対応していくか、新ルールに対応する審判・コーチの訓練、研修をどう進めるのか、課題はいろいろありますが、国内のジュニア交流大会が年々盛んになっていくことがジュニア選手のレベルを底上げしていくことには間違いありません。
 交流大会とはいっても子供たち(ジュニア選手)は点数が出される試合を楽しんでいます、たとえそれが良くない点でも。子供はめげないですから。
 最後に、バリまで応援に来てくださった保護者の方々、関係役員、全国の応援してくださった方々、どうもありがとうございました。

●大会成績:

区分 性別 種目 氏名 拳  術 短器械 長器械
A組 男子 南 拳 米山 隆太郎 南拳9位 南刀9位 南棍5位
長 拳 河村 直哉 長拳1位 刀術13位 棍術1位
女子 南 拳 阪 みさき 南拳4位 南刀6位 南棍4位
長 拳 森本 閑 長拳4位 剣術3位 槍術2位
B組 男子 長 拳 岸  啓介 長拳2位 刀術2位 棍術5位
長 拳 寺石 恭平 長拳3位 刀術3位 棍術4位
女子 太極拳 齋藤 志保 太極拳1位 太極剣1位  
長 拳 山口 亮子 長拳1位 剣術3位 槍術1位
C組 男子 長 拳 金澤 慎治 長拳 11位 刀術 2位  
長 拳 小松 資 長拳 26位   棍術3位
女子 長 拳 森 未樹 長拳7位 剣術1位  
長 拳 山本 千尋 長拳2位   槍術1位

●参加国・地域 メダル獲得数:

順位 国・地域名
1 中 国 10 0 0 10
2 日本 8 5 5 18
3 インドネシア 6 8 5 19
4 べトナム 6 4 8 18
5 中国香港 5 5 3 13
6 カナダ 3 7 3 13
7 マレーシア 3 5 3 11
8 ロシア 2 3 2 7
9 シンガポール 1 3 2 6
10 フィリピン 1 3 0 4
11 アメリカ 1 2 1 4
12 中国マカオ 1 1 5 7
13 中国台北 1 1 2 4
14 韓国 1 1 1 3
15 イラン 1 0 4 5
16 スリランカ 0 1 1 2
17 ミャンマー 0 1 0 1
18 ウクライナ 0 0 2 2
19 イギリス 0 0 1 1
20 ウズベキスタン 0 0 1 1
  50 50 49 149

表彰式後全員で