第16回アジア競技大会 銀2(市来崎,宮岡),銅1(平岡)獲得!

11月13~17日 32カ国・地域から204人が参加

銀2(市来崎、宮岡)、銅1(平岡)獲得
アジア最高峰の大会で活躍!!

 アジアオリンピック評議会(OCA)が主催して4年に1回開催される「アジア競技大会」は、今年11月12~27日に「第16回大会」が中国広東省広州市で開催され、42競技476種目にアジア45カ国・地域から合計9,704人の選手・役員が参加した。
 「武術太極拳競技」は、11月13日~17日に中国・広州市の「南沙体育館」で実施され、アジアの32カ国・地域から204人の選手が、套路競技と散打競技に参加した。
 参加29カ国・地域172人であった4年前の「ドーハ・アジア大会」に比べて参加国数が約1割増加し、アジア地域で武術太極拳の普及が進展していることを示している。
 套路競技は男女各4種目の計8種目(男子=①太極拳・太極剣総合、②南拳・南棍総合、③長拳、④刀術・棍術総合、女子=①太極拳・太極剣総合、②南拳・南刀総合、③長拳、④剣術・槍術総合)と、散打競技男女計5階級(男子3階級、女子2階級)が実施された。日本は、套路競技に6人の選手が日本オリンピック委員会(JOC)により派遣された。

男子:
①関屋賢大=太極拳・太極剣(大阪府連盟)、②中田光紀=南拳・南棍(東京都連盟)、③市来崎大祐=長拳(大阪府連盟)
女子:
①宮岡 愛=太極拳・太極剣(神奈川県連盟)、②山口啓子=剣術・槍術(東京都連盟)、③平岡友希=長拳(大阪府連盟)
 また、谷川大選手強化委員会委員長が監督、前東篤子選手強化副委員長と、孫建明同委員会ヘッドコーチが代表チームコーチとして帯同した。


大会選手村入りした日本代表選手団一行

●アジアの精鋭、世界最高峰の競技レベル:
 この大会は、「アジアオリンピック評議会(OCA)」に加盟しているアジア45カ国・地域の各国オリンピック委員会(NOC)が選手団を編成して派遣する。武術太極拳競技の出場選手も、各国がメダルや上位入賞の可能性がある種目と選手に限って派遣する。各競技団体も、4年に1度の大会に照準を合わせて選手強化を図ったうえで、選りすぐりの選手を派遣する。アジアの最精鋭の選手により、世界の最高レベルの競技が行われる大会である。
 日本代表の6選手は、過去数年間の国際大会の代表として経験と実績を重ねたうえで、満を持して大会に臨んだ。

●アジア大会 日本人最初のメダル、市来崎が「銀」の快挙:
 11月12日夕刻にアジア大会総合開幕式が挙行され、武術太極拳競技は翌11月13日から11月17日まで、午前と午後に套路競技が、夜間に散打競技が行われた。
 競技は男女とも、長拳だけが単独種目で、他は、2種目の合計得点でメダル、順位が決まる方式で行われた。
 主催国である中国は、「武術」を今大会の全ての競技種目のなかで一番早く実施してハイライトを当てるように、「男子長拳」を13日午前8時30分から開始した。大会最初の金メダルを中国が武術競技で獲得するように演出する競技編成であった。
 中国選手は、このような重圧のなかで跳躍・着地で揺れ、9.78であった。それに対して市来崎選手はノーミスの立派な演技を決めて9.72を挙げ、0.06点の僅差で堂々の第2位、銀メダルを挙げた。
 日本国内でも、大会日本勢最初のメダルを挙げた市来崎選手に注目が集まり、新聞・TVなどで報道される快挙となった。


男子長拳の銀メダルを手にする市来崎大祐選手

●宮岡ドーハに続く「銀」、平岡殊勲の「銅」:
 大会3日目の15日は、午前中に女子太極剣、午後に太極拳が実施され、宮岡選手の金メダルが期待された。過去数年の国際大会の実績が評価され、初の「金」が狙える時期が熟していると思われるものであったが、女子太極拳はアジア各国の実力が伯仲しているなかでの熾烈な戦いであった。午前中の太極剣では、メダル争いが予想されたマレーシア、日本、インドネシアが3人とも9.67の同点1位となり、午後の太極拳に勝敗が持ち込まれた。マレーシア選手と宮岡選手はともにノーミスで実力を発揮し、悔いのない演技であったが、得点はマレーシア選手が9.69、宮岡選手が午前と同じ9.67となった。最後に演技したインドネシア選手は、重圧のなかで大きなバランスミスを犯して5位に後退した。宮岡選手が、2種目ともノーミスの立派な演技で実力を発揮したことを大いに讃えたい。1位のマレーシア選手(Chai Fongying)とは、奇しくもドーハ大会と同じ1、2位となった。両選手は、演技の風格、特徴が異なる実力者どうしである。宮岡選手が今後ライバルに差をつける力を身につけることを期待する。
 4日目の16日に行われた女子長拳では、自選難度競技の国際大会には初出場の平岡選手が、正確で力強い演技で3位につけ、殊勲の銅メダルを挙げた。

 

女子太極拳・太極剣総合で銀メダルの宮岡愛選手
女子長拳で銅メダルを獲得した平岡友希選手

●さらに上を目指して挑戦を:
 男子太極拳・太極剣の関屋選手、男子南拳・南棍の中田選手、女子剣術・槍術の山口選手は、いずれも2種目のうちの1種目のミス減点が響いて入賞圏外となった。特に、関屋選手は、技術点、演技点、難度点のうち、演技点では十分メダル圏内となる太極拳9.69と太極剣9.68を挙げていただけに残念な結果となった。
 いずれにしても今大会のように高度な競争のなかでは、ノーミスが大前提で、そのうえで演技点(表現点)でのメダル争いとなる。この大会に至るまで精進を重ねてきた各選手の努力を讃えるとともに、さらに技を極めて再挑戦することを期待したい。
 この日本チームが最善の努力を払って大会に臨み、立派な成績を挙げたことに対して、監督、コーチをはじめ関係各位に感謝したい。

●大会役員を派遣:
 この大会には、村岡久平日本連盟副会長がアジア武術連盟(WFA)事務総長として、また、岡﨑温日本連盟常務理事がWFA事務局主任として参加した。また、及川佳織、竹中保仁両国際審判員が大会指名審判員として審判業務を担当し、川崎雅雄理事が大会副総審判長を、石原泰彦理事が大会仲裁委員会主任を担当した。

●参加国・地域 メダル獲得数(散打種目を除く)

順 位 国 名
1 中 国 5 0 0 5
2 中国香港 1 2 0 3
3 マレーシア 1 0 1 2
4 中国マカオ 1 0 0 1
5 日 本 0 2 1 3
6 ベトナム 0 1 4 5
7 韓国 0 1 2 3
8 インドネシア 0 1 1 2
9 ミャンマー 0 1 0 1
10 中国台北 0 0 4 4
11 イラン 0 0 3 3
12 ラオス 0 0 2 2
13 インド 0 0 1 1
13 モンゴル 0 0 1 1
13 フィリピン 0 0 1 1
13 タイ 0 0 1 1

●次の大会は韓国・仁川で:
 2014年第17回アジア競技大会の開催地は韓国の仁川(インチョン)。韓国でアジア大会が開催されるのは、1986年にソウルで行われた第10回大会、2002年に釜山(プサン)で行われた第14回の大会に続いて3度目。