「第6回世界ジュニア武術選手権大会」(ブルガリア・ブルガス市)金4・銀4・銅3を獲得!

2016.9.29~10.3/ブルガリア・ブルガス市
51カ国・地域から783人が参加

国際武術連盟(IWUF)主催の「第6回世界ジュニア武術選手権大会」が9月29日~10月3日,東欧のブルガリア・ブルガス市で開催され,世界51カ国・地域から783人の選手・役員が参加した。

日本連盟では,ジュニア代表選手8人と監督・コーチ4人,帯同審判員1人の計13人を派遣した。

会場のブルガス市は,ブルガリアの東端に位置し,黒海に面したリゾート地として人気のある地域。とはいえ,日本からは遠隔地にあり,日本代表選手団は,日本~ドイツ・ミュンヘン市~ブルガリア・ソフィア市~ブルガス市と国際航空を2度乗り継いでの長旅となった。

大会初日と2日目は散打競技種目のみとなり,日本選手が出場する套路競技は3日目からの3日間になることが直前に決まったため,旅の疲れを癒やして大会に臨むことができた。

前回大会を大幅に上回るメダルラッシュ

套路競技初日の10月1日に,年齢A組では,蝦名冬馬選手が男子太極拳で2位(銀),坂本蓮選手が男子刀術で3位(銅),池内佳奈選手が女子刀術で1位(金),女子長拳で2位(銀),貴田菜ノ花選手が女子剣術で3位(銅)に輝いた。

套路競技2日目は,年齢A組では,坂本蓮選手が男子棍術で1位(金),蝦名冬馬選手が男子太極剣で2位(銀),池内佳奈選手が女子棍術で1位(金),貴田菜ノ花選手が女子槍術で2位(銀)を獲得。年齢B組では,大野莉玖選手が男子刀術で3位(銅)を奪取した。

套路競技3日目は,年齢B組の大野莉玖選手が男子棍術でみごと1位(金)に輝いた。メダルに届かなかった3選手も,メダルへの手応えを感じられる結果を残した。日本選手団一行は,大会終了翌日にブルガス市を出発し,往路と逆の空路で10月5日に無事帰国した。

本事業は,(公財)日本オリンピック委員会(JOC)選手強化NF事業助成を受けている。


メダリストの5人。
左から貴田菜ノ花,蝦名冬馬,坂本蓮,池内佳奈,大野莉玖の各選手

大会レポート 谷川 大(選手強化委員会委員長)

今回の世界ジュニア選手権でも,選手がそれぞれ健闘し,良好な成績を上げることができた。参加した選手,遠隔地まで応援に来ていただいた父兄,選手の実力発揮に尽力されたコーチ,日本連盟の皆様に感謝申し上げたい。

今回の大会では,前号で孫建明日本連盟ヘッドコーチが述べられていたのと同様,他国が確実に実力をつけているという印象を持った。ジュニア選手とはいえ,国際大会ではノーミスの演武が求められる。それは単に無難にミスなく終えるということではなく,ミスのないことを前提として全体の演技レベルが評価されるということである。各国の取り組みは,プロチームあり,中国へ長期訓練に赴く者ありとさまざまだが,日本同様のアマチュア選手も多くみられる。訓練の状況を突然変更することは難しいものと考えるが,その上で日本選手と指導者の皆さんが日常的に取り組むべき点を考えたい。

基礎基本の充実は種目の別なく重要である。ジュニア選手は普段は地元で訓練をされている。その中で基本技術の見直しを行っていくことが必要である。手型,歩型,器械の基礎技術という問題は代表に選出されてからの短期間で修正できるものではなく,普段の訓練の中から養われるものである。同時に正しい姿勢,動作も繰り返しの訓練の中からしか生まれてこない。跳躍,回転に限らず何とか姿勢を保っているような状況では同じノーミスでも大きな差が生じる。ルールに習熟し,どのような訓練を行うべきかということも研究すべきである。

また,日常的な体力づくりも重要な問題である。本番で套路を何とかこなすという程度の体力では,全力を出し切るということの基本的レベルに大きな違いが生じる。プロではないが日本の代表である以上,技術,気力,体力のすべてが充実していなければならないという自覚も重要である。

ジュニア選手が成長していく中でシニアの自選難度を目指していくのはよいことだが,全ての選手がそこにたどり着けるものではない。トップ選手は単に套路の訓練や難度動作だけを練習しているのではなく,基本功,体力づくりといったことに多くの時間をかけ,練習会場以外の日常の中でも不断の努力を心掛けていくということを改めて申し上げたい。


左から坂本蓮選手の棍術(金メダル),池内佳奈選手の棍術(金メダル),蝦名冬馬選手の太極剣(銀メダル),
貴田菜ノ花選手の槍術(銀メダル),大野莉玖選手の棍術(金メダル)演武

(上段左から)丹井均,大野莉玖,勝部典子,宮尾宙尚,蝦名冬馬,坂本蓮,孔祥東,
(下段左から)貴田菜ノ花,池内佳奈,谷川大,林聖那,坂入花音の各監督・コーチと選手たち

参加国・地域別 獲得メダル数(套路種目)

順位 国・地域名 合計
1 中国 12 2 14
2 イラン 5 6 3 14
3 中国マカオ 5 5 4 14
4 シンガポール 5 2 7
5 中国香港 4 8 3 15
6 日本 4 4 3 11
7 ベトナム 4 2 3 9
8 マレーシア 3 6 7 16
9 ロシア 2 2 7 11
10 ベラルーシ 2 2
11 インドネシア 1 6 8 15
12 韓国 1 3 1 5
13 アメリカ 1 1 3 5
14 ウクライナ 1 3 4
15 ウズベキスタン 1 1
16 カナダ 1 1
17 イタリア 2 1 3
18 エジプト 1 2 3
19 フィリピン 1 1
20 トルコ 1 1
21 フランス 1 1
  合計 52 52 49 153

日本代表選手成績一覧

性別 種目 氏名 所属団体 出場種目と成績順位
1 A
長 拳 坂本  蓮 埼玉県連盟 長拳4位・刀術3位(銅)・棍術1位(金)
2 太極拳 蝦名 冬馬 北海道連盟 太極拳2位(銀)・太極剣2位(銀)
3
長 拳 貴田菜ノ花 兵庫県連盟 長拳4位・剣術3位(銅)・槍術2位(銀)
4 長 拳 池内 佳奈 埼玉県連盟 長拳2位(銀)・刀術1位(金)・棍術1位(金)
5 B
長 拳 大野 莉玖 千葉県連盟 長拳12位・刀術3位(銅)・棍術1位(金)
6 太極拳 宮尾 宙尚 新潟県連盟 太極拳4位・太極剣4位
7
長 拳 林  聖那 埼玉県連盟 長拳8位・刀術5位・棍術4位
8 太極拳 坂入 花音 千葉県連盟 太極拳4位・太極剣4位