「第9回世界ジュニア武術選手権大会」結果報告
金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル2個、全員入賞の活躍!
国際武術連盟(IWUF)主催の「第9回世界ジュニア武術選手権大会」が、9月25日(水)~29日(日)の5日間にブルネイ・バンダルスリブガワンで開催され、会場のブルネイ国立屋内競技場には、世界30ヵ国・地域から延べ900人近くの選手が集いました。
日本連盟では、ジュニア日本代表選手A組男女各3人、B組男女各2人と監督・コーチ4人、帯同審判員1人の計15人を派遣しました。
現地応援に駆けつけられたご家族や関係者の皆さまやライブ放送・SNSなどによる日本からの応援がジュニア選手たちの大きな力となり、最後まで頑張ることができました。応援ありがとうございました。
日本ジュニア武術隊は、遠隔地のためC組の派遣を見合わせた中、金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル2個を獲得しました。
本事業は、(公財)日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化NF事業助成を受けて実施されました。
詳細な成績の一覧は下記に掲載します。
監督・コーチ大会レポート
目的
国際武術連盟(IWUF)主催による「第9回世界ジュニア武術選手権大会」が9月25日(水)~29日(日)の5日間、ブルネイ・バンダルスリブガワンのブルネイ国立屋内競技場にて開催された。本大会の日本代表選手団は監督1名、コーチ3名、国際審判1名、A組男女各3名、B組男女各2名、計15名で構成された。C組については遠隔地での開催であるため派遣が見送られることとなった。
9月20日(金)・21日(土)の2日間、東京・日本連盟トレーニングセンターの直前合宿で最終調整を行い、去年に引き続き多数のメダル獲得を目指して、22日(日)の午前中にブルネイに向けて出発した。
成果
今大会の成績は金メダル1個、銀メダル1個、銅メダル2個であった。過去の成績から比べるとかなり厳しい結果となった。直前合宿ではノーミスを目標として順調に調整ができていたが、大会本番では細かいミスが見られた。
A組の第三套路では難度の採点はなかったが、どの国の選手も難度を含め非常にレベルが高かった。第三套路では難度の成功率が重要となるが、日本の選手は本番での成功率が低かった。他国の中にはシニアレベルの選手も多数いる為、難度を強化していく必要性を改めて感じた。
B組の選手においては、日本の選手は他国の意識や迫力に気後れしてしまう傾向にあった。日本人選手にもメダル獲得の可能性は十分にあったが、ミスでメダルを逃したのは非常に残念だった。今大会はなかなか厳しい結果となったが、日本チームに足りないメンタルの弱さや規格の見直しなど課題も多く見つかったので、今後に繋げていきたい。
課題
メダル獲得の条件はノーミスであることだが、今回の日本チームは全体的に細かいミスが目立った。また他国の勢いに飲まれてしまう傾向もあり、日本人の性格の弱さが出ていた。国際大会という大舞台でプレッシャーに負けて本来の力を発揮できないなど、日本チームは国際大会でメダルを獲得するためのメンタルができていなかったと言える。
A組の第三套路に関しては、特に太極拳選手の難度の成功率と難度レベルを上げる必要がある。年齢区分が1つ下がったことでレベルが追いついていないことも原因の1つと思われた。
また他国の強みは強化体制にある。1つのチームで毎日同じ指導者が指導にあたっている。強化体制、練習日数、練習環境など、明らかに日本チームより優れている。そんな他国の選手たちと戦っていくためには、普段の練習の質と量を上げることが必要である。限られた時間の中で、効率よく練習の質と量を上げる。今一度練習内容を見直すことが必要であろう。諦めずに効率のよい練習を行えば必ず日本チームのレベルはあがるはずである。また早期に次の区分に対応できるよう準備を進めることも必要である。
そして国際大会でメダルを獲得するためのメンタル作りも必要である。普段の練習から国際大会に通用する練習メニューと、それに取り組む意識も変えていくことがコーチの使命である。日本も変化を恐れず一歩踏み出すことが重要である。
選手強化委員会としても今回の結果をしっかりと受け止め、来年のアジアジュニア武術選手権大会に向けて、強化体制の見直しを図っていきたい。
参加国・地域別 獲得メダル数(套路種目)
順位 | 国・地域名 | 金 | 銀 | 銅 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 中国 | 10 | 1 | 11 | |
2 | マレーシア | 9 | 11 | 5 | 25 |
3 | インドネシア | 9 | 8 | 7 | 24 |
4 | シンガポール | 7 | 9 | 4 | 20 |
5 | 中国香港 | 7 | 8 | 3 | 18 |
6 | 中国マカオ | 5 | 5 | 7 | 17 |
7 | ブルネイ | 3 | 3 | 2 | 8 |
8 | カナダ | 3 | 1 | 2 | 6 |
9 | イラン | 2 | 6 | 5 | 13 |
10 | アメリカ | 2 | 3 | 3 | 8 |
11 | ベトナム | 2 | 1 | 3 | |
12 | チャイニーズタイペイ | 1 | 4 | 3 | 8 |
13 | 日本 | 1 | 1 | 2 | 4 |
14 | フィリピン | 1 | 1 | ||
15 | 韓国 | 1 | 1 | ||
16 | ニュージーランド | 1 | 1 | ||
17 | ウクライナ | 1 | 1 | ||
18 | エジプト | 2 | 2 | 4 | |
19 | インド | 1 | 1 | ||
20 | フランス | 3 | 3 | ||
21 | チュニジア | 1 | 1 | ||
22 | オーストラリア | 1 | 1 | ||
合計 | 65 | 63 | 51 | 179 |
「第9回世界ジュニア武術選手権大会」日本代表選手団名簿と成績
年齢 区分 |
性別 | 種目 | 氏名 | ふりがな | 所属連盟 | 出場種目 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | A組 | 男 | 太極拳 | 川村 心輝 | かわむら しき | 岩手県 | 太極拳11位、太極剣6位 |
2 | 長 拳 | 大木 宙 | おおき そら | 埼玉県 | 長拳5位、刀術7位、棍術13位 | ||
3 | 長 拳 | 東 孝大朗 | ひがし こうたろう | 岐阜県 | 長拳7位、刀術5位、棍術9位 | ||
4 | 女 | 太極拳 | 棟方 ひより | むなかた ひより | 北海道 | 太極拳4位、太極扇3位 | |
5 | 長 拳 | 久下 瑠那 | くげ るな | 大阪府 | 長拳7位、刀術5位、棍術4位 | ||
6 | 長 拳 | 石井 思初 | いしい おうぶ | 東京都 | 長拳16位、剣術7位、槍術8位 | ||
7 | B組 | 男 | 長 拳 | 小松 桜弥 | こまつ さくや | 神奈川県 | 長拳8位、刀術5位、棍術5位 |
8 | 長 拳 | 髙橋 琉晟 | たかはし るい | 大阪府 | 長拳9位、刀術6位、棍術4位 | ||
9 | 女 | 長 拳 | 今井 友里乃 | いまい ゆりの | 兵庫県 | 長拳2位、剣術3位、槍術1位 | |
10 | 長 拳 | 大塚 凛 | おおつか りん | 埼玉県 | 長拳10位、剣術13位、槍術5位 | ||
11 | 役員・コーチ | 孫 建明 | そん けんめい | 選手強化委員会 委員長/監督 | |||
12 | 孔 祥東 | こう しょうとう | 同 ヘッドコーチ | ||||
13 | 神庭 裕里 | かみにわ ゆり | 同 ジュニアヘッドコーチ | ||||
14 | 周 偉 | しゅう い | 同 強化コーチ(ジュニア担当) | ||||
15 | 帯同審判員 | 王 輝 | おう てる | 国際審判員 |