― 健康と太極拳 ― 自宅での介護予防~喜多方市の太極拳ゆったり体操の取組み(松崎裕美、佐藤久美子)
※5月に寄稿いただいた記事です
喜多方市のゴールデンウィークは、さくら祭りの期間中で、しだれ桜並木や三ノ倉高原一面の菜の花畑、また市内ラーメン店などにも多くの方に訪れていただき、一年の中でも一番町全体が華やぎ賑わう季節です。今年は残念ながら寂しい連休となってしまいました。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、全国の太極拳愛好者の皆様の活動も制限を余儀なくされていることと思います。
当市についても、感染者は出ていないものの、これまで継続してきた太極拳のまちのイベントや力を入れて取り組んできた「太極拳ゆったり体操」のイベントについても中止となっており、市内の太極拳や「太極拳ゆったり体操」教室も、3月以来休止の状態が続いています。
教室が休止となり、ステイホームを呼び掛ける中で、高齢者の皆様に健康を維持していただくために、いかに体を動かしていただくかが、市の大きな課題です。担当課である高齢福祉課ではすぐに「太極拳ゆったり体操」を中心に高齢者の在宅での健康づくりについて取り組みを始めました。
まずは「太極拳ゆったり体操」のパンフレットを全世帯に配布し、家での体操を促しました。また、地元エフエムでは月曜日から金曜日まで毎日30分間の「太極拳ゆったり体操」の番組が放送されていますので、その放送を聞きながら体操してもらうよう呼び掛けました。
「太極拳ゆったり体操」は、効果を検証して作成しておりますので、習慣にしていただければ、下肢筋力の向上、バランス機能の向上に効果があり、新規要介護認定を抑えることができるものです。ただ、全く行ったことがない方が、パンフレットやラジオ放送で習慣にすることができるのかというと、少し厳しいものがあります。
そこで、「太極拳ゆったり体操」のDVD付き手引書を販売している、㈱いわきテレワークセンターにご協力いただき、また、共同著者の福島県立医科大学安村誠司副学長とも協議して、多くの方の介護予防につながるようにと、DVDに収録している準備運動と体操短縮版の立位バージョン、座位バージョンをYouTubeで公開することにしました。DVDでは全ての動作について、鏡を見るようにまねして実施していただくことができるので、YouTubeが活用できる方にとっては、介護予防・健康づくりの有効なツールとなります。
しかし、「高齢者の方でインターネットの環境がない方についてはどうするか」というのが悩ましいところです。当市では「太極拳ゆったり体操」以外にも簡単に行える体操のパンフレットを全世帯に配布しつつ、高齢者の方に少しでも体を動かしてもらえるよう、ご家族や近所の方に声掛けをお願いしています。
当市では、今年予定していた、「太極拳ゆったり体操」サポーター講習会、サポーターステップアップ講習会を残念ながら中止としています。全国の皆様には、是非YouTubeを活用して「太極拳ゆったり体操」に親しんでいただければと思います。
また、NHKテキスト「きょうの健康」に令和2年4月から12回シリーズで、「太極拳ゆったり体操」が毎月1動作ずつ掲載されています。こちらも是非ご覧いただき、ご活用いただければ幸いです。
今後は、国や県の方針を踏まえながら少しずつ市内での教室を再開することになるかと思います。3密を避けることはもちろん、高齢者の皆様が無理なく楽しくみんな集まっての運動が再開できるよう、準備を進めたいと思います。
「コロナに気を付けて。また来週会おうね。」と挨拶して別れた太極拳や、「太極拳ゆったり体操」の仲間とこんなに長く会えなくなるとは、思ってもいないことでした。当たり前のように集えることのありがたさを痛感しています。それでも今後は新しい生活様式のなかに、それぞれが在宅でも運動を習慣にできるような仕組みづくりを引き続き検討する必要があると考えております。
東日本大震災の際にも続けてきた「太極拳フェスティバル」も今年は中止となります。来年は皆様に喜多方市においでいただけるよう、お待ちしております。そして一日も早く教室が再開され、全国の太極拳・「太極拳ゆったり体操」を愛する皆様が一緒に太極拳・「太極拳ゆったり体操」を楽しめるように祈っております。