「第17回アジア競技大会（韓国・仁川市）武術競技」市来崎，内田選手が銅メダルを獲得！

武術競技　9月20～24日

アジア最高峰の大会で堂々の成績

【掲載：2014年10月15日】

9月19日から韓国・仁川（インチョン）で開かれ，45の国・地域の13000人が36競技・439種目に出場した「第17回アジア競技大会」が10月４日閉幕した。

正式競技として実施された武術には日本代表6人が参加した。男子＝市来崎大祐（長拳），中田光紀（南拳・南棍総合），関屋賢大（太極拳・太極剣総合），女子＝山口啓子（剣術・槍術総合），小島恵梨香（南拳・南刀総合），内田愛（太極拳・太極剣総合）の各選手。

市来崎選手が長拳で銅メダルを獲得。アジア大会全体で日本勢最初のメダルとして注目を浴びた。女子太極拳・太極剣複合では内田選手が3位に食い込んだ。

選手団監督は谷川大日本連盟選手強化委員長。コーチとして前東篤子同副委員長，孫建明同ヘッドコーチが参加した。帯同審判員として及川佳織国際審判員が派遣された。日本連盟からアジア大会役員として石原泰彦，川崎雅雄両常務理事が参加した。

男子長拳で第3位の市来崎大祐選手。表彰式で

女子太極拳・太極剣総合で銅メダルの内田愛選手

アジア最高の舞台でトップレベル選手との接戦

第17回アジア競技大会（2014/仁川）武術太極拳競技は9月20日24日に大韓民国仁川市Ganhua Dolmens体育館で開催された。日本代表は７月の全日本選手権の結果と実績を基に選抜された男女各3名の計6名。男子長拳と女子太極拳・太極剣の2種目で3位銅メダルを獲得した。開催国ごとに実施種目に変動のある中で，武術太極拳競技は1990年の北京大会以来継続して実施種目となっている。アジア競技大会はオリンピックに次ぐ国際大会であり，このことからも世界で，とりわけアジア地区でのスポーツとしての普及と競技としての安定した実績がうかがえる。

代表選手団は9月13日に集合して14日の日本選手結団式に参加，同時に国内で最後の調整合宿を行い，17日には韓国・仁川に移動し選手村入りした。選手村は各国選手団がいくつかのブロックに分かれて居住し，日本チームも他の競技の選手と同じユニット内に生活し，大会に臨んだ。競技種目は異なるものの，この大会に向けて努力と調整を重ねてきた者同士が，すぐ近くで生活を共にすることは大変大きな刺激となり，参考とすべきところも，また得るところも大であった。

競技一日目の男子長拳には市来崎大祐選手が出場し3位に入賞，日本選手団全体の第一号のメダルを獲得した。9月19日開会式の翌日20日早朝からの競技で，前回広州大会同様に今大会第一号のメダルとしての注目度も高かった。1位となった地元韓国選手も若いながらもよく調整して今大会に臨み，市来崎選手，2位のマカオの選手との差は本当にわずかなものであった。演武はいずれもミスのないことを前提として行われている。有力選手であっても1つのミスから採点上の他の組での減点を招くため，大会会場は実際のところ大変緊迫したものである。この日に行われた女子南拳・南刀でも失敗のため順位が混沌としたものとなった。

大会期間中日本の各選手はすべてベテランの選手であり，各自の個性を生かした演技内容で，十分な調整をして大会に臨んだものの，失敗が響き，3位までの入賞は逃した。

その中で，女子太極拳・太極剣の内田愛選手は前回広州大会から演技内容を検討し，新しい技術も取り入れた演技構成で勝負をかけ，３位を獲得した。この種目でも上位3名の差はわずかなものであった。

日本代表選手団一行9人

将来に向けた早期の取り組みが不可欠

また同時に将来を見越して選手の育成に関しても早期の取り組みが不可欠となる。基礎となる武術の技術と難度動作に対応する訓練のどちらにも十分な対応をし，なおかつ熟練度を求めていくためには長い時間が必要である。現在の代表選手はジュニア大会での代表経験を有するものがほとんどだが，キャリアの面からだけでなく代表選手は多くの時間を費やし，努力して現在のレベルに至っている。今後は単純にジュニアの年齢を卒業した者が自選競技に進むということだけでなく，継続した訓練と，ライバル同士切磋琢磨していく環境，トップレベルの選手による競技ということをよく見据えていかなくてはならない。

大会に臨むに当たり，努力を重ねられた選手の皆さん，普段の訓練も含めて選手の出場をサポートいただいたコーチの皆さんに感謝申し上げたい。併せて応援をいただいている日本の武術太極拳界の皆様にも感謝と御礼を申し上げたい。

大会は套路と散打競技で行われた

会場の江華ドルメンズ体育館