輝け!武術太極拳アスリート ~近藤稜真選手・平田優花選手~
日本武術太極拳連盟・選手強化委員会が認定する強化指定選手の活動や競技に向けた想いなどをご紹介します。
武術選手としての想い
小学3年生の頃に京都で武術太極拳を始めました。
京都での練習は、市民体育館や野外の砂利が落ちている傾斜のある地面の上で行っていました。
しかし、高校1年の時に京都のチームがなくなると同時に大阪武術隊に入ることになりました。大阪隊に入った当初は、武術という競技に対して楽しい、面白いという感情はなくなりつつ、練習の日数も疎かになっていました。そして、モチベーションがダウンしている時に南拳に転向しました。正直に言えばこの転向の理由は逃げという言葉に1番近かったと思います。
しかし、この選択が僕の感情を変えました。南拳の練習を行うにつれて武術は楽しいという感情になるようになりました。そこから最後のJOCジュニアオリンピックカップ大会では総合1位になり、この1位も意味のあるものになりました。それはやると思っていなかった自選難度選手への道です。人生何があるか本当にわからないと思いました。そして、ここから武術に対する熱意が強くなりました。
武術選手としての決意
自選難度種目デビュー戦の3ヶ月前の合宿で足首の怪我により出場ができなくなる可能性がありました。しかし、出たいという気持ちは強く、2種目に絞り出場することになりました。長引いた怪我は初めてで、小さい怪我ではありましたが、動きたいのに動けないということが苦しかったです。それでも2種目ともやり通しました。体作り、技術などといった課題という課題はたくさんありました。けれど、レベルの高い土俵で試合に出れたことの収穫はとても多かったです。
これからのプラン
現在は大学生をしながら武術をしていますが、悔いの残る選手生命にしたくないので、大学を卒業したとしても、やれるところまでやりたいと今では思っています。
僕は日本代表になりたいです。これが今の武術に対する僕の1番強い思いです。
「人生、自分次第。」この言葉の通り自分が死ぬ気で努力をすれば叶えられないことはないと思って、まず目の前の目標をクリアしていくこと、それが日本代表になるための第一歩だと思います。
これから死にものぐるいで頑張りますので応援よろしくお願いします。
2000/1/22生 京都府出身
所属:大阪府武術太極拳連盟
学校:龍谷大学 農学部
主な競技成績:
■ 2018年 第26回JOCジュニアオリンピックカップ大会 総合1位
■ 2019年 第36回全日本武術太極拳選手権大会 南拳2位・南刀3位
自選難度競技・太極拳の平田優花です。
小学校3年生の春、NPO法人太極拳友好協会のTFA長拳隊というチームに出会い、長拳を始めました。
その後、中学生頃から太極拳に興味を持ち始め、ジュニアの大会では、長拳の種目をメインに出場しつつ太極拳の種目にも出場させて頂いていました。ジュニア卒業後、自選難度太極拳選手として、活動させて頂いています。この場をお借りして、私が武術から得たことについて、お話しさせていただきます。
競技人生初めての棄権。
私は、2019年5月末に受傷してしまった怪我の影響で、7月の全日本大会には出場しませんでした。棄権という選択肢を受け入れるのは、今まで棄権をしたことがない自分にとっては、とても勇気が必要な選択肢でした。この選択に至るまで、どうしたら大会に出場し、良い結果を自分にプレゼント出来るか、そして、どうしたら応援してくださる人へ感謝の気持ちを精一杯届けられるか。考えながら、ようやく大会1週間前に現実としっかり向き合い、皆さんに助けて頂きながら、棄権という選択肢が今の私にとって一番すべき選択肢だと納得し、決断することが出来ました。
決断してからも、簡単に心を入れ替えられた訳ではなく、大会当日のことを考えるだけで悲しくなることもありました。大会に向かうか、向かわないかすら悩みましたが、今年からルールが変わることや、会場も変わること。2020年の大会を見据えて、岡山県へ行くことを決めます。そこで私の目に写った景色は、悔しい気持ちや悲しい気持ちだけではなく、それ以上に、自選難度競技に出場する選手のカッコ良さと、これから自分が成すべきこと。が明確になり、この舞台に立つ自分を想像して、未来の自分にわくわくすることが出来ました。怪我をしてから、たくさんの景色が目の前に広がり、ことある度に決断をし続けましたが、今年の大会の全てが終わって、思ったことは、「今の私にとって怪我は必然だった。」でした。結局この怪我が治るのには半年かかってしまいましたが、その間も得ることが多く、充実したリハビリ期間になりました。怪我をしても、マイナスにするか、プラスにするかは自分次第だと怪我から教わりました。
武術太極拳から得たこと。そして。
私は、武術太極拳に出会い、様々な経験をさせて頂いてきました。
大会に出れば、緊張する自分や、ライバルとの戦いに勝つ為に全力投球。表演をすれば、拍手や笑顔をもらえる反面、表演の準備が不十分だと、お客さんに満足してもらえず、拍手すらしてもらえないような、私たちの良し悪しがそのまま返ってくるシビアな世界。練習では、出来ない動作には諦めずに挑戦し、出来るようになった先にある新たな可能性に期待を寄せて、何度も何度も試行錯誤。出来るようになった時にはとても嬉しくて、自然と笑顔が溢れます。
そして何より、私を応援してくださる方々の温かさに触れ、限界を一緒に乗り越えてくれる仲間に出会い、普通に生活していたら出会えないような人や感情に出会うことが出来ました。
まだ日本代表になることは出来ていませんが、日本代表になったとき、目の前にどんな景色が広がるのか、今の私では全く想像することが出来ません。ですが、その景色をステキな色で彩ることが出来るように、自分の信じる道を歩いて、その瞬間に備えたいと思います。そして、応援してくださる方々と一緒にその景色を見て喜ぶことが出来るのならとても幸せです。まだまだ未熟者ですが、私らしい表演で皆さんに楽しんでもらえるように、頑張っていきます。これからも、よろしくお願い致します。
1997/2/19生 埼玉県出身
所属:埼玉県武術太極拳連盟
職業:NPO法人 太極拳友好協会 事務局員
主な競技成績:
■ 2018年 第35回全日本武術太極拳選手権大会 [自選難度]太極拳2位・太極剣3位