「2024年度春季強化合宿」を実施

4月27日~5月3日 東京・日本連盟トレーニングセンター

中国代表団を招聘して強化合宿を実施

(公社)日本武術太極拳連盟は4月27日(土)から5月3日(金・祝)の7日間、東京・日本連盟トレーニングセンターで春季強化合宿を実施しました。本事業は、(公財)日本オリンピック委員会(JOC)選手強化NF事業助成を受けて行われています。

今回の合宿は、5年ぶりに中国国家級コーチを含む中国代表団を招聘して、日本代表内定選手を中心に参加選手を厳選して行いました。また、5月3日(金・祝)には、参加選手およびコーチを対象に、(公財)日本アンチ・ドーピング機構(JADA)発行のテキスト資料やリアルチャンピオンクイズなどを利用し、アンチ・ドーピング講習やコンプライアンス講習も実施されました。

本合宿は競技力向上事業の一環として実施された

本合宿は競技力向上事業の一環として実施された

太極拳班の訓練の様子

太極拳班の訓練の様子

長拳班の訓練の様子

長拳班の訓練の様子

中田光紀コーチを講師にアンチ・ドーピング講習等を実施

中田光紀コーチを講師にアンチ・ドーピング講習等を実施

2024年度春季強化合宿レポート 選手強化委員会

4月27日(土)から5月3日(金・祝)の7日間の期間で、中国代表団を招聘して、7月の全日本大会や国際大会に向けての訓練を中心に東京・日本連盟トレーニングセンターにおいて実施した。

また、6月16〜24日にアジア大学スポーツ連盟(AUSF)主催の「2024年アジア大学武術選手権大会」が開催される予定のため、今回の合宿期間中である4月29日(月・祝)には、代表選考会も同時に実施した。

<長拳>

目的

・7月に開催される第41回全日本武術太極拳選手権大会、9月開催の第10回アジア武術選手権大会、10月開催の第3回武術套路ワールドカップ大会に向けての訓練。

・在籍するシニア強化指定選手の中から今年指定選手になった新人選手を除き長拳9人、太極拳10人、南拳2人に絞って行った。

・「2024年アジア大学武術選手権大会」代表選考会を合宿中に実施

成果

・中国の国家級コーチ・選手を招いたことで、いつもより緊張した空気でより意識高く練習を行えた。

・長拳組は毎日基本となる足の使い方や腕の使い方を重視した練習を加え、動きの幅を持たせ自然な流れになるよう改善。

・南拳組は歩法訓練を重視した練習をし脚力不足の改善。

・太極拳組は一人一人の套路の流れ、曲との協調性を見てもらい改善。

課題

・日本選手は基本毎日1単元で練習しているが、合宿では1日2単元の練習を1週間続けることにより合宿開始後2日で筋肉痛と疲労がMAX状態になった。

合宿中に2人ケガをし参加できなくなる状況もあり合宿の練習内容の強度をコーチがもっと気をつけて計画し、怪我にならないようレベルアップさせる必要がある。

・中国コーチに3日後に選考会があることを知らされていなかったためか前日まで基本練習が続いたので選考会出場選手は筋肉痛と疲労を抱えた状態で出場することになった。今後はそういった目的やテーマをコーチ間で周知していかなければならない。

・中国コーチに見てもらえる貴重な合宿なので基本練習や素質トレーニングも大事だが、中国コーチから見たリズムや構成、全体的なバランスなど選手一人一人の套路を見てもらえるよう要求していきたい。

・上記の課題から、可能であれば1日の練習後にコーチミーティングで選手の状態や改善点、練習での要求等を話し合う機会があれば次の練習に向けてより濃い内容になると考える。

<太極拳>

はじめに

中国国家級コーチを招聘する合宿は5年ぶり。昨年のアジア競技会および世界選手権においては、日本チームとして過去最低の成績であり、コロナ禍における訓練環境や管理面でのプロとアマチュアの差を見せつけられた。

コロナ禍を経て、明らかに新時代に突入しているということを認識し、コーチ陣一丸となってゼロからスタートしなければならない。

目的

新規選手の技術の強化・向上をはかり、有望選手として活躍できるよう育成する。

世界から遅れているということを自覚し、アマチュアでも可能性があるということを信じ、遅れていた分を取り戻す。

成果

少人数での訓練であったため、一人一人細かな指導を受けることができた。

各選手の套路について、路線やリズム、動作のつながり、音楽との協調などを修正。

また跳躍系難度動作については、踏み切り方や軸の取り方、腕の回し方、足をたたく位置など、細かなやり方を改めて確認した。

中国チームの現役選手も訓練に参加したことで、最新の技術や訓練方法を学ぶことができた。補助訓練として、回転系跳躍難度のためのチューブを使用した筋力トレーニングを紹介していただき、訓練に取り入れた。

課題

武術太極拳の技術は独特である。今まで行ってきたものが間違っているということではなく、競技の方向性や時代の変化などに合わせながら正しく見直し、しっかりとした土台を形成することが重要である。

今年はアジア選手権大会やワールドカップが開催される。「チームJAPAN」としては、世界を追いかけることが最優先。コーチ陣もサポートしていきたい。

<南拳>

目的

国際レベルから見て、日本の南拳は技術・身体能力いずれも引き離されている。南拳の難度動作は比較的シンプルなものが多いため、身体能力の向上により完成度を上げることは可能。それに対し、南拳の基本技術は習得するのに苦労している。

今回の合宿は、数年ぶりに中国からコーチおよび現役選手を招聘しているので、南拳の技術や訓練方法などを学び、今後の訓練に生かす。

成果

参加選手が2人ということもあり、套路や動作、基本技術などを、ほとんどマンツーマンで指導を受けることができたため、それぞれの選手に対し、具体的な指摘を受けることができた。

できない動作については、「もう一回、もう一回」と何度も何度も繰り返し行うことで、余分な力みがなくなり、動作本来の力点やスピード、リズムなどが自ずと現れてくる場面もあり、少人数ならではの訓練であった。

課題

 一番の問題は、南拳の競技選手がジュニア層も含めて少ないということである。競技大会に出場する選手はいるが、南拳の技術を指導できるコーチも少なく、硬く荒々しいというイメージのみで演技を行う選手がほとんど。また、柔軟性や瞬発力、勁力、リズムといった武術そのものの基本を後回しにする傾向にあると思われる。

南拳種目に対するイメージを払拭し、機敏かつしなやかに、正しく動けるような選手の育成を急ぎたい。同時に、南拳を指導できるコーチの育成も必要である。

以上

2024年度春季強化合宿
アンチ・ドーピング/コンプライアンス講習 レポート
選手強化委員会

今回はスポーツの価値と理解をテーマにし、まずはアスリートACTを理解すること、アスリートはドーピングから自分自身を守り、仲間を守り、未来のスポーツ発展の為に権利を持っているという内容の講義から、更に理解を深めるべくリアルチャンピオンクイズというwebアプリを全選手に体験してもらいました。

このアプリはスポーツの価値への考え方、アンチドーピングのルールについて確認するためのレベル13までの5問ずつのクイズと、スポーツの価値を考え、発信するための2つのアクテビティで構成されています。全選手に満点を取るまで体験してもらいました。

このリアルチャンピオンクイズアプリを通じてスポーツの価値、アンチドーピングについてさらに身近に考え、満点を取るまでやることで理解度をあげることができた。また自分の言葉でスポーツの価値やクリーンスポーツの意義を表現することで自身の視野を広げることにもなりました。

2024年度春季強化合宿 参加者名簿

種目 性別 氏名 所属
連盟
出身 種目
1 太極拳 荒谷 友碩 千葉県 千葉県 太極拳・剣
2 村上 僚 東京都 北海道 太極拳・剣
3 蝦名 冬馬 東京都 北海道 太極拳・剣
4 西口 直輝 大阪府 兵庫県 太極拳・剣
5 齋藤 志保 岩手県 岩手県 太極拳・剣
6 庄司 理瀬 秋田県 秋田県 太極拳・剣
7 寺岡 瑠里 北海道 北海道 太極拳・剣
8 平田 優花 埼玉県 埼玉県 太極拳・剣
9 花野 宏美 兵庫県 兵庫県 太極拳・剣
10 磯野 水響 千葉県 千葉県 太極拳・剣
11 長 拳 安良城 基睦 大阪府 大阪府 長拳/剣・槍
12 高 龍大 大阪府 大阪府 長拳/剣・槍
13 鎌田 慎ノ介 北海道 北海道 長拳/剣・槍
14 今井 真秀 大阪府 大阪府 長拳/刀・棍
15 高木 勇吹 愛知県 愛知県 長拳/刀・棍
16 中田 琉月 大阪府 大阪府 長拳/刀・棍
17 貴田 菜ノ花 大阪府 兵庫県 長拳/剣・槍
18 古川 萌華 岩手県 岩手県 長拳/剣・槍
19 池内 佳奈 埼玉県 埼玉県 長拳/刀・棍
20 南 拳 松川 爽人 大阪府 石川県 南拳/南刀・南棍
21 宮森 創大 北海道 北海道 南拳/南刀・南棍
22 役員
コーチ
孔 祥東 選手強化委員会委員長
23 前東 篤子 〃副委員長
24 孫 建明 〃ヘッドコーチ
25 勝部 典子 〃強化コーチ
26 丹井 均 〃強化コーチ
27 中田 光紀 〃強化コーチ(講習担当)
28 李 強 福建省武術隊 国家級コーチ
29 宋 林 福建省武術隊 高級コーチ
30 高 浩楠 〃選手
31 張 雅玲 〃選手